2014年3月7日金曜日

2014年2月の短歌 ダッフルコートの

捕まえて撫でて触って傷つけて所有者なんかでいたくはなくて

正しいの定義にもよる悪党になれるか試す制服を裂く

雪みたくポップコーンを散らばせるあの子のように泣き叫べたら

針山の綿の中身になればいい突き刺す冬の墓標になろう

寒くって震えるまつげ雪弾くダッフルコートの似合わないひと

雪を踏みきしむ足音並べても向う側では他人の僕ら

電線の雀のように身を寄せて信頼なんてしてはいなくて

強い人弱い人みな雪のなか選ぶじゃなくて奪い去ってよ

道端のゲロを避けては傾いて重たい夜へ作る穿孔

千代紙の羽根の丸こい折鶴の傾き軽く姫たち笑う

借り物のパジャマ後ろ前逆で尻尾があればちょうどいいのに

白服のサクリファイスと云ふ勿れ舞い昇りたる少女属性

鉄塔をくるくる回る子供たち死は緩慢な光るたてがみ

どうせならキャトルミューティレイションの話をしよう雪が止むまで

一卵性双生児みたく抱き合って死ねたら次は家族になろう

赤マルの例えば灰を手に取って十字を描く夜は毛羽立ち

スティーブン・キングの絶賛するような子供時代を語れずにいる

吸いたくもない煙草吸う月曜日甘露求めぬ私は蛍

あいつらは人を攫いにやってくる眠れぬ夜の毛布となって

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