2014年5月9日金曜日

2014年4月の短歌 溶かしバター

食らわせる毒と皿盛るビタミンCあなたのことは憎くはないよ
#ひとつ嘘の日企画)

丁寧に反抗心を培って赤い爪隠す靴下を履く

もう一度生まれるならば塵となり小惑星の軌道を辿る

セクシャルな青いトマトを湯剥きする雪平鍋が鈍めに光る

この部屋へ春を呼ぶためいくらでも溶かしバターを作ってやるよ

できるなら私のことを考えて落ちてしまえばいいのに、椿

突っぱねた手の冷たさのその代わり電子レンジが喋ってくれる

甘噛みに汚れた指を汚させるお互いをまだ知らないでいる

人前に漏れる前戯の傍らでこの世の終わりみたいな顔を

持ち運び可能な昨日首筋へ若いの定義見せびらかせて

空室を満室にして赤色をスカイラインのライトが照らす

見開いた目は動かない落ちていくきれいな花を咲かせたままで

全員が黄色いお目々悪魔たちうがいをしたらおかえりなさい

九文字に生まれ死んだら刻んでく静かに指が位牌を倒す

葡萄酒とパンの合わせは本当に合うのかどうか話し合わない?

砂壁にマティーニで跳ぶ穴を開け一緒に道を外れませんか

うす赤い骨格標本ニンゲンに無い部分だけ尊い命

愛情の形さまざまなればこそ並んで錆びるビニールの傘

世界中吐かれるFUCKの数の分にやけるだけの権利はあるよ

ゴビ砂漠柄した君が牛乳に忙しいからコーヒーを飲む
#牛乳短歌企画)

Four Letter Wordsの種類増やしてさ二人一緒に悪魔になろう

片腕でティッシュの箱を潰すときわずかに見せる暴虐性を

そんなには好きじゃなかったお互いに一線なんか引き渡せばいい

メンヘルがメルヘンに見え青い鳥探す足取りとろけて重く

明日にまたこの筒状の身体で現実的な空虚を穿つ

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