2014年9月26日金曜日

題詠blog2014の事(8)

071:側
一人行く道道車疾く走り君の不在は明らかになる

072:銘
金の指正真正銘愛だって誓える人の形良い脚

073:谷
市ヶ谷の釣り堀で見た穏やかさあれは五月の一日でした

074:焼
欲しがった自己中心的陶酔は雨の日詩篇をやわらかく焼く

075:盆
客室に精霊馬の青匂う凪いだ風には誰か急く声

076:ほのか
ずるさより正しさだけが怖くって仄かな闇を見出している

077:聡
今日右で昨日は左一昨日は聡いお前の愚鈍を憎む

078:棚
本棚の半分は趣味実用書もう半分を埋める自己愛

079:絶対
絶対の存在になる欲だけは明らかにしてだのにお前は

080:議
どのくらい好き?って質問待ってるよ不可思議単位使えそうだよ

2014年9月19日金曜日

題詠blog2014の事(7)

061:倉
悩ましく選ぶことだけ強いられる餡蜜添えし抹茶か小倉

062:ショー
捨てられた子猫みたいとベン・ウィショー語る口には甘い業苦を

063:院
分解をされてナース指先辿ってくかつて私であった青い血

064:妖
終電を逃し夜だけ生き延びる喉の渇きを知らぬ生き物

065:砲
花火音遠くに残る静寂に砲撃戦のかつてを想う

066:浸
厚揚げとキャベツ煮びたし格安でやさしさなんかに優劣がつく

067:手帳
たわむれに手帳ちぎって描かれた蛙未だに捨てられもせず

068:沼
マヴェ沼にスパナチュシャロ沼溺れゆく我に新たな処刑人沼

069:排
毎日を育ては千切る苛立ちは排水溝の目皿に溜まる

070:しっとり
雨の日に濡れたシーツは張り付いて日本全国灰色となれ

2014年9月12日金曜日

2014年8月の短歌 倍倍カロリー

正しさを主張する人怖い人誰かの弱さ認めない人

認識の違いだけでは重過ぎる鴉黙らす饒舌な酒

牛頭の父と女神の母のもとロックンロールを聞き分ける耳

クアトロのピザを頼んで残す二斤あなたとあなたの私の分の

汗をかく粘菌質の精神に殺人的に眩しい河原

蒸す夜に駄目だ駄目だと蛙鳴き殺す殺すと油蝉鳴く

ジリジリと濃縮還元される夏頭痛のように蝉の鳴き声

一緒、に、さ、誘う溺れる落ちていく銀色の鹿まばゆく熱帯

どうにでもなるくらい暑い夏が来る君と寂しさ忘れるほどの

双手にはラメ入りピンクフレンチの二丁拳銃ごとき暴挙を

バニラのせ倍倍カロリーハイカロリー幸福なんか安易で容易 

空回る速度を知って音が鳴る自分の正しさあなたの病 

こっそりと卑屈に怯え続けてる強く正しい女の人を 

覚悟とか一生かけても出来ないや秋味ビールのあぶくは琥珀 

好い人と悪い人なら極端で意地の悪さが好きか嫌いか 

目が合った気がした今日も殺し屋に狙われ怯え会社に行こう 

重たくてうるさいだけの頭ならいらないいらない捨ててしまおう 

沸くお湯に輪をかけ夜は重くなるこんな淋しいむらさきの渦 

願い事タイムマシンで過去へ行くそして私を抱きしめに行く

後悔をしたくなければ無視をする積み重ねてく不良債権 

ふるさとの字面の甘い優しさに騙されかけてまた齢踏む 

幾らでも叫ぶだけならしてやるさここは天国逃げ場のない地 

窓のない建物ばかりあふれててしがない野性すり減らしてる 

真昼間のアイスクリーム鉄の味愛の言葉じゃ許しはしない 

砂糖水みたいに安い嘘をつくピンクのカバは行進しない