2015年12月25日金曜日

題詠blog2015の事(8)

071:粉
白粉をはたく年にもならぬまま死化粧げに甘く匂って

072:諸
本日は諸般の事情、あわよくば不機嫌とかでお休みします

073:会場
生き方を曲げるも何もありゃしない宴会場はあちらにござい

074:唾
路地裏に捨てる昨日の葛藤は苦い唾液を過剰にさせた

075:短
空色の透けた中身を掴んでは短気起こして悪辣を吐く

076:舎
これまでのアップデートは間に合わず駅舎屋根から零れくる雨

077:等
過去にある好意は全部不等式それが正解なのかわからず

078:ソース
ふざけてる<body>hello world</body>何もかも服従せよとソースは笑う

079:筆
毎日はロケット鉛筆然として過剰な愛は受け付けません

080:標
今までに読んだ本たち積み上げてアンバランスな墓標を立てる


間に合わなかったけど、続けてみる。

2015年12月11日金曜日

2015年11月の短歌(2) 神風

人生を無駄にはしたくないはずで今宵晩酌すこし良いやつ

映画ではエンドロールの終わりまで見るよ淋しさ少しは減るし

じゅうぶんにエゴイスティック夜の町あってもなくてもどうでもいい価値

一人だけ回転率を上げていく上昇気流知るだけの青

サンセット神風君は髪を切り海の匂いをめちゃくちゃにした

少しなら優しさとかを持ちたいよ祈りのようにかさぶたを剥ぐ

世の中の日曜の夜の死にたさを濃縮還元ジュースにしちゃえ

対角線引いて引かせていけないね抱き続けるの容易じゃないし

淋しいと口に出させてずるいのは手の届く範囲無視をすること

何もない日々にやたらに喉渇き足りないだけの自己肯定感

どこが好き明言されて代替の利くこと知って安心をせよ

慰めは要らない泣いている理由あんたのためじゃないからだから

始発まで待つファミレスの床光り雑味溢れる今宵をどうぞ


2015年12月4日金曜日

2015年11月の短歌(1) ハニー

爪が割れ肉が見えてる拷問じゃないだけマシだと思えよハニー

褒められることはないけど無視をされないだけマシだと思えよハニー

召し上がるカロリーメイト毒物じゃないだけマシだと思えよハニー

体育会系の挨拶罵倒ではないだけマシだと思えよハニー

右目から鬼が出てきて終電じゃないだけマシだと思えよハニー

痰絡む落語家みたく陽気ではないだけマシだと思えよハニー

二十六時間起きてる出勤じゃないだけマシだと思えよハニー

噛みしめるミント入りガム毛虫ではないだけマシだと思えよハニー

青痣の色鮮やかで入院じゃないだけマシだと思えよハニー

夕食はクラッカーだけ地獄ではないだけマシだと思えよハニー

衣食住労働の対価木の葉じゃあないだけマシだと思えよハニー


労働哀歌として下の句を縛っていました。
随分束縛の強い恋人だこと。

2015年11月27日金曜日

2015年10月の短歌(3) テフロンの

どれだけの汚い言葉並べ立て傷つけてても寄り添う孤独

多分もう100年後には死んでるし分かってるけど今は泣かない

沢山のかもしれないを紐つなぐ仮定はゆらり夜を揺らして

きっとうまくいくのだろうから無視をする負けても勝っても結果は同じ

並べてる似たような花コスモスの色はあかいろ口紅のいろ

低気圧の影響により舌を打つさもしいだけのバッドトリップ

リトルリトルリトルアスホールだってさ目の前にいるどぎつい罪人

公園で寒いと言って生温いココアの缶を分け合っていた

ぽろぽろと落ちる発泡スチロール守られるのは風化の速度

夢だとかまぶしめの言葉ぶつかって傷つけている、ひとり勝手に

さいていだすきだきらいだこわいんだ最適解を選べ矛盾に

テフロンの剥げた鍋上バター溶け少しばかりの幸福を得る

歯を磨き眠る程度の分別で吸わないたばこ揉みくちゃにして

2015年11月20日金曜日

2015年10月の短歌(2) サイコロの目は

この世から二人ぼっちを取り下げて一人さみしくひゃんひゃん泣くよ

絶対に嘘嘘睫毛目に入り狂わせるほど涙の応酬

嫌いなら嫌いと言えば完結の子供時代と私のいまと

あらかじめ知ってる嘘に網を張るよく欲望ぼうよく茫洋と

あたしって言い遣る個人の自尊心満員電車でもみくちゃになる

真昼間の浮かぶ気持ちに帆を立てるどうでもいいのどうでもいいの

幸せになりたいなんて不幸にも憧れている不良でもある

笑っててほしいと思う浅はかに水で作ったココアはまずく

迷うほど強い何かは持ってないただわがままな大きな子供

すごろくのあがり見えないままで振るサイコロの目はぜんぶ白色

犬の歯で噛むと血が出てしまうから目付きの悪い右目でにらむ

浮かんでは消える飛行機雲のなか私の骨は柔らかになる

冷え過ぎた指はどんどんぬるくなる他人と自分の汚れに満ちる

2015年11月13日金曜日

2015年10月の短歌(1) イマジナリーフレンド

都合よく愛想笑いを振りまくよカスミソウなら足りないのだと

祝福をしてよ拍手も喝采に腕がもげるほど掴んで逃げて

乾かせば何もかも同じ砂になる会えないからの妄想は揺れ

イマジナリーフレンドふたりぼっちでのうるさく過ごす夜の憂鬱

信頼の形は甘辛醤油味今日は玉子を崩してもいい

水星と冥王星の違いすら都市はわからず眠らないまま

酒に酔い煮込み料理を延々と作り続けて笑う休日

始発にはまだ早い駅座り込むかすか聞こえる母親の声

自主的に与えることが可能なの赤青黄いろ綺麗に痛む

石けんの泡ふわふわに手を洗うまともに生きる自覚がほしい

もう少し粘ってみればあっさりと跪いてもやらなくもない

前提にあるものとして眼球は唯一舐める為の臓器で

明るくも毎日小さく死に向かう誰かをきっと捕まえるから

2015年11月6日金曜日

過去の短歌 ダンスホールだ

情報がいくら氾濫していても当事者にしか分からない事

人生を糞のようだ、と言う君と喫する酒はほのかに甘し 

車中にて扇子を振りし若人よ猫の目蛇の目子鬼たちの目

恨めしくアブラゼミ鳴く猛暑日に人を乞う乞う人を恋う恋う

足元に転がる西瓜夏の宵紳士の呻く生首光る

俗世間という語の似合う我を見て犬の吠ゆるは陶然と「死ね」

太陽を見詰めて思うかなしみは涙の出ない訃報に似てる

淋しくて最終電車を待つ人は腕を振らせて擬似のお別れ

ご機嫌な青年の歌響く夜 駅のホームはダンスホールだ

制帽の白線外れ梅雨の頃つるりと舐める膝の裏見る

2015年10月30日金曜日

2015年9月の短歌(2) 脊髄も

いくつかの駄目パターンを練り出して焼いて美味しく食べてしまおう

秋になりどれだけ自分が馬鹿かって知らしめたくて電話をかける

次の日の下ごしらえをして眠る少しくらいは幸福でいい

使わない筋の固さを思い出す野ばらの匂い混じった汗は

煽らねばならない時もあるわけでテンション高めに叫ぶよ好きだ

おおぜいの人に囲まれ手の甲は泥に汚れてキスも出来ない

内臓も脊髄も全部汚れてて丸洗いしてやりたいくらい

守らねば守られるだけの獣でひとつ自分で決めたラインを

淋しくて誰かに助けてほしいって言えない誰かは誰なんでしょう

眠れない人がどうにか泣かぬよう淋しくないよう電気を点ける

電子音甘い人工音楽に頭はとうにおかしくなって

歩道橋揺れる視界を跨らせ月を目指すと言えばいいのに

2015年10月16日金曜日

題詠blog2015の事(7)

061:宗
ここへきて宗旨替えかと笑ってるあんたが好きだ阿呆みたいに

062:万年
建て付けの悪い窓から差す夕日万年床は棺桶になる

063:丁
暴力と甘えたさんを抱き合わせ二丁拳銃引き金を引く

064:裕
余裕とかハナから無くて君煽る追いかけっこは今日も続いて

065:スロー
コールスロー添えて肉屋に娶られて無害な笑みを振りまくだけだ

066:缶
好きなだけミートボールを詰め込んでトマト缶には夢が溢れて

067:府
右足の小指の爪は消失し政府は何をしてるのだろう

068:煌
煌めいたはずの夢路の果ての果てあとは気楽に墜ちていくだけ

069:銅
夏残り赤銅色の子供達いつか大人になれますように

070:本
猛禽のような目をして本当は泣きたいことを隠して君は

2015年10月9日金曜日

2015年9月の短歌(1) 肋骨の

後悔をしてほしいならしてやるさ鼻血みたいにあまい鉄味

肋骨の檻だと言ってあたしらの中身は砂糖菓子なのである

そんなものが愛とかいった形なら迷わずくれよたっぷりくれよ

桂剥きされてるみたい削がれてく季節を跨ぐ雨の降る夜

猥談をフードコートでするように赤くならない人ふたりきり

痛いのはどこにいたっておんなしで例えば君を選ぶということ

便宜上名付けられてる名を呼ばれ痛みは何か覚え始める

豚の餌呼ばわりされて屑でいる矜持はあたし誇っているよ

生きている資格がほしいと思うのでできれば優しくありたいのです

また明日に固い猫背のわたし行く空虚はどこが果てなのだろう

ネガティブで筋肉質な孤独だけ宵の鴉に混じって吼える

2015年10月2日金曜日

題「ホーム」 歌会たかまがはら9月号

歌会たかまがはらさんで、2015年9月号「ホーム」というお題で
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

動き出す車窓はホームでタバコを吸う女をすぐに置き去りにした
(工藤吉生さん)

段々と家具が揃ってだんだんと僕の部屋ではなくなってゆく
(牛隆佑さん)

ホームレスの人が何かを呟いた。俺にではないことを願った
(飯田和馬さん)


温かな家庭を描くと思いきや、この切れ味。
家と職場の往復である駅もある意味ホームなんですよね。
このお題は家、じゃないところが肝で、突き詰めてみると面白い。

自分は下記を投稿。新しいのは作れなくなってきた。
即詠の過去短歌ばかりになっている。個人的に好きなのは多いけれど。

週末の電車はいつも遅れてて私は家にたどり着けない

帰る家無いと応えてかたつむり嘘には嘘を抱く君がいる

一卵性双生児みたく抱き合って死ねたら次は家族になろう

じゃあね、って鶯谷の駅ホーム並ぶ人たち人形の顔

駅ホーム先頭で待つ人たちへ墨黒の羽背中に生えて

ご機嫌な青年の歌響く夜、駅のホームはダンスホールだ



2015年9月25日金曜日

2015年8月の短歌(2) 合歓の木の

合歓の木の花重たくて細い枝そういう愛情だった気がする

あんなにも焦がれた終わり始まってきらきら光る夏の鱗粉

可愛い目可哀想な目うるさい目ゆるされたくば靴でも舐めろ

柔らかい笑顔の下にある雪に手枷足枷縛られている

お互いに布団の上で死ねないねそういって笑う女ともだち

大切にして舐めとって酷くして壊す願望二律背反

仕方なく閉じる第一ボタン位置せめてムカつく笑顔でいてよ

夏は嫌い毎朝死にたくなるような冷たい冬の到来を待つ

エクスクラメーションマーク繰り返す自意識過剰な下品を愛す

喜びと怒り哀しみ楽しみとあなたを好きになってよかった

灰色の平たい雲の端にいる甘く途方に暮れてもみたい

2015年9月18日金曜日

2015年8月の短歌(1) 花を吐く

何もかも削ぎ取るみたく吐く呼吸生きているのは楽しいですか

幸せになりたいだけだ捨てられた子犬に人の名前名付けて

掬うなら金魚じゃなくてそこらへん歩いてるだけ女の子たち

みにくいと認めてしまえ感情は打算の海で静かに凪いで

嬌声の出るようなことしでかしてビル間を走る剥いだ妄想

謝罪から入る告白おとといに来やがれだとか言ってほしいか

すべからく向日性の真実を口に出したら腐ってしまえ

余白など目の前にあり酒を飲むあなた方には唾を吐きたい

毒現のかわり綺麗な花を吐く病気になって埋もれて死ぬの

境界がなくなるように溶ける夏だれもそばには寄らないでいて

勝ち負けを決めないだけの繋がりできみの歯笛は今日もへたくそ

日曜の廃品回収甘い声どうかわたしを連れてってくれ

2015年9月11日金曜日

テーマ「夢」 うたらば第82回

たらばさんで、「夢」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

夢を見よう(※布団でじゃない) 未来への地図を描こう(※布団にじゃない)
(あみーさん)

真鍮の蛇口を夢で締め忘れしずかに沈む遠くの小島
(ユキノ進さん)

コミカルなのとロマンチック系に分かれる中で、
好きだ、と素直に思えた二首です。
有本利夫や舟越桂の作品のような他人の夢。
覗き見する悪趣味は人類共通の欲求だろう。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。
ずさんが過ぎる最近。


メロドラマみたいな夢を見てしまうそして卑屈な自分が愛しい

怪獣は夜になったらやってくる玄関ドアにもたれて待つよ

新しい生き物になる何もかも許せるような生き物になる

2015年9月4日金曜日

過去の短歌 お願いDJ

ダイヤルを3に合わせて引きこもるお願いDJ絶望をくれ

柵の上歩く少年夢見がち生きているから壊したくなる

誰からも呼ばれる名前を持っていてさびしさだけを積み上げていく

眠り付く目蓋の肉の膨らみよ他人と暮らすことのさみしさ

肉厚なふともも好む虫なんだストッキングを裂いてもいいか

生活は隣り合わせで眠る時溶け合うように成り立っている

絶対を求めて迷うこの指の第二関節お前が欲しい

産む性と産まされる性揺らがせて板書の「避妊」ノートに写す

雨の中捨てられた生き物みたく擦り寄られては傷付いていく

生贄の山羊の目をしてメリーメリーゴーラウンドは君をさらって

2015年8月28日金曜日

2015年7月の短歌(2) サングリア

温かい黄色い毛並の犬っころ欲しがるだけの淋しんぼたち

雨が降る嘘つきみたいな陽気さであんたは傘をくるくる回す

あぜ道をどれだけ早く走れれば台風の目になれるのだろう

祈らせてどうか神様仏様信じてなんかいないけれども

選択肢だらけの街を通過して可哀想な人誰かを請うて

絶対は赤くえぐれて跡残し頭の中の野卑をぶちこむ

臆病な自尊心だと笑ってる嫌なら全部壊してしまえ

もう少しだけでいいからだまってて聞こえない声消えない罵倒

頭ならじゅうぶんおかしい知ってるよ猫のたくさんいる町で死ぬ

サングリアオレンジ壊れ物のよう赤紫の腕の手のあと

がりがりの背中は揺れる爪を切る生きてるだけで上々だとも

2015年8月14日金曜日

題詠blog2015の事(6)

051:緯
信じるか信じないかは別として同じ経緯の恋情がある

052:サイト
泣き汚す私の涙は溜まってくあんたはいつもダムサイトのよう

053:腐
腐葉土の中にいたって僕はきみ奪い尽くして食い荒らしたい

054:踵
音楽が鳴るようなほどのキスをしてカスタネットを叩く踵は

055:夫
大丈夫まだ生きていて良い筈だ青いトマトはピクルスにして

056:リボン
ほどくなら赤いびろうど縞リボンしまってあった古い約束

057:析
口開けて落ちてくる餌美味しいね何も知らない他己分析へ

058:士
貧弱に泣いてもない歯科衛生士押し当てられる豊満な胸

059:税
大半が税金だからこの紫煙億万長者の味がしている

060:孔雀
白孔雀刷り込むだけの自己否定一生懸命放つ真昼間

2015年8月7日金曜日

2015年7月の短歌(1) 指切りげんまん

欲望は箪笥に全部詰め込んで衣替えまで見ない振りする

嘘をつく容易なことで騙し合う傷をつけない愛とは何か

ずるさより可愛さだけが欲しくってぐるぐる回す透明な傘

魔法陣作る間も無く出る煙こんなに容易に心は枯れて

今すぐに死んでしまいたくなるような群青深い夜の奥底

週末の電車はいつも遅れてて私は家にたどり着けない

灰色の風は強がり押し上げる隙間を塞ぐだけのこの身を

綻びてしまうくらいのお約束呪いをかける指切りげんまん

十字路で悪魔と契約してもまだあなたのそばにいたいと思う

新しい生き物になる何もかも許せるような生き物になる

2015年7月31日金曜日

2015年6月の短歌(2) メルシーメシー

最低の低の低まで昇華してひとり酒瓶割っていましょう

手に持った花は大体干からびるそういう求め方しか知らない

どす黒い独占欲とか言うほどにみっともないと言い切れないな

糞泥のごとく静かに夜明けきて音のならない私は眠る

やがて死ぬ運命論者連れ立って征く春を征く夏を潰して

蛍火の消える川底底の底かわりにタバコ灯してやろう

悪いことすんでのとこで止めといて破滅したくばどうか二人で

夏空にいろんな人のお喋りは罵倒と化して散るくじら雲

敬愛の果てにあけびの色をして裸に剥いて食ってしまうよ

寄り添って分け合うメープルシロップは透けて琥珀の津波を起こし

悲しいの果てがあるなら早く来いメルシーメシー明るい孤独

鎧捨て日なたの中の猫の顔ただの個人に戻させてくれ

屈伏をさせて欲しいと従って膝をついたら壊れるだけだ

鶏卵とトマトのような相性を望みあぐねて茹だる盛夏よ

2015年7月24日金曜日

過去の短歌 可愛い金魚

神様の手の中で嘘、化けの皮剥いだらそれはたぶん真実

淋しさのあまり一人でシチュー煮る誰か私を埋め尽くしてよ

太陽は高くにあって照らし出すつまらないほど欲情してく

ぼんやりと愛玩動物然とした顔してないで私を責めて

歯茎見せ笑う女が見たいから雨でも貝殻拾いに行くよ

人ひとりきっかけひとつ解にしてゆるやかにいま消えて行くのか

愉しげに八大奈落語り出すまあるいお目々の可愛い金魚

オレンジの光は射してアジテーション鴉鳴く声行先を告げ

世界中伝えておくれ冬の雨至極淋しい至極淋しい

Mother,Father,Rocker,Fucker,Murderer,祈りは誰かに注げばいいよ

2015年7月10日金曜日

題詠blog2015の事(5)

041:扇
殺意にも扇情的な色がある瓶詰めになる梅雨の家々

042:特
特にもう言いたいことはないでしょう冷えてく抹茶ミルクティーラテ

043:旧
どこにでも新旧不一致ありまして喜びなんてやかましいだけ

044:らくだ
情なんて弱っちいからくだらない理由にそって穿つ展開

045:売
人間の屑と呼ばれて喜んで尻尾を振って売られる自尊

046:貨
百貨店屋上揺れる観覧車クリームソーダは冷た過ぎてた

047:四国
コンクリに浮かぶ炎天その地獄四国犬たち目ェの鋭さ

048:負
百億の夜とダイヤを散りばめて夢見るように負け犬を知る

049:尼
すべからく人魚の肉はうまいのか比丘尼に問えば何と言うのか

050:答
逃亡は解放なんかじゃ無いからね答えはいつもわたしに足りぬ

2015年7月3日金曜日

2015年6月の短歌(1) 殴るのほかに

心臓はうね回る蛇、何もかも犠牲にするさその悔いのため

こんなにさ梅雨の余白は淋しくて残酷残酷ぐるぐるまわる

10等の星に名前をつけてやる過去や誰かを否定はしない

汚される覚悟もないで鏡割る吐き気するほど優美な彼方

灰色の鱗きらめき雨は降る弾かれるほど悲しくもなる

新しい選択肢には加えよう殴るのほかに愛すの項を

唇の傷口はまだ塞がらず染みる塩気の強い愛情

大量に耳に流し込むほど出る涙わたしのことは放っておいて

バッテンの数はみんなで幾つかな肯定の末終わらない宵

万人が認める夜だつばめいろどうしようもない事をしようよ

すり鉢の中で小さくなっていく白胡麻のよう水曜のぼく

心臓は狙い定めて貫かれ空っぽ今日も飴玉を噛む

席譲る他人見かけて溶かされる母が自分を産んだ年頃

半分こ白身魚のフライから淋しさとかも溢れ出してる

2015年6月26日金曜日

題詠blog2015の事(4)

031:認
昼どきの歯磨き粉からドブの味乙女の口は認めはしない

032:昏
そのくらい嘘でもいいと言えよホラ黄昏の中顔が見えない

033:逸
簡単に常軌逸する日々がある泣くたびに傷増えますように

034:前
目の前に無限の可能性があり引き返せないあまいまどろみ

035:液
液状化してとろけてしまうもし君が全知全能ならばよかった

036:バス
オリオンは35度に傾いてバスは終点さらばさよなら

037:療
失敗に荒療治でも必要と連れ出す犬のか細い怒号

038:読
軽やかに欲求不満のせいにして読もうはるかな八甲田山

039:せっかく
せっかくのお休みの日に火を消して知らない都市の伝説を聞く

040:清
清らかな一票なんて言葉なぞ皮肉なんでしょ砂漠のような

2015年6月12日金曜日

2015年5月の短歌(2) ファンデーションの

日当たりの良いベランダに枯れていく色の分からぬサボテンの花

舐めとってファンデーションの味見して汗で混じれば情欲になる

茎製の小さな檻を作り出しこぼれる花はふにゃふにゃ笑う

贅沢は尽くし尽くして欲を言う透明な犬飼ってみたいの

水底の深い緑が恐ろしい巨大な臓腑ただ一人きり

細い首太陽からも隠したい知っているのは私だけでいい

歌ごえははるかはるかに伸びていく鯨になって壊す太陽

ここに居て良いよの許可が欲しいです煉瓦の家を積み上げるから

生き物としての毎日過ぎていき生野菜サラダ雑草の味

順繰りに割れた風船ひけらかす夏はいくらも閉じてしまうよ

傘の骨にわかたわんで折れやすく小さなテロル台風のあと

均衡の取れた和菓子を食んでいる暴君のごと溺れる夏は

2015年6月5日金曜日

2015年5月の短歌(1) メンソールタバコ

はらはらと歌うようにも溢れ落つ花びらのごと溶けていくきみ

金曜日なのに死にたい消えたいと願う目の前終電車来て

迎え撃つ来てすらいない終末を鳥肌立てて迎え撃つのだ

あじさいの冷たい青は突き放す消え去るならばどこへ行こうか

メンソールタバコのせいでせっかくのあなたのキスが死ぬほどまずい

絶望は足並み揃えて行儀良くピアノ黒鍵弾かれている

青く浮く血管なぞる優しさと歯型を付ける野蛮の秩序

毎日は干からびるほど容易くてぬるくてまずい炭酸の水

オープンザドアーあんたが思うほど人生甘くは無いはずだから

一、二ィの、三番四番五、六番どうでもいいから好きって言って

2015年5月29日金曜日

題「肉」 歌会たかまがはら4月号

歌会たかまがはらさんで、2015年4月号「肉」というお題で
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

俺が俺が隅でじっくり育ててた特上カルビをお前はお前は
(西村湯呑さん)

桜桃のくれなゐ眩し教科書の太宰はひたひに肉と書かれて
(門脇篤史さん)

お肉好きですか?と聞かれて大好きです、と答える人に
好感を抱いてしまう。肉食動物としての根源を見るからかもしれない。
それにしてもゆでたまご先生の功績ってすごいですよね。

自分は下記を投稿。採用・批評頂いたのはとても嬉しかった。

外国の解凍肉の赤黒さ病葉のごと蝕んでいく

包丁で刺されたらきっと痛いねと深夜プロレス君と見ている

幸せと言ってみやがれ売られゆく仔牛の暗い瞳見ながら

色校に乳房の肉を指定する赤鉛筆の硬い爪先

持つべきと持たざるべきを逡巡す赤子てのひら詰まってる肉

2015年5月15日金曜日

2015年4月の短歌 ジャンプ片手に


エイプリルフール、だなんて笑う人ぜんぶ嘘ならどんなにいいか

日陰しかないような場所探しては弔い文句呟いてみる

シャツの襟はだけたままで歩こうか今日も淋しい追い風が吹く

穏やかに互いの屑をぶつけ合う本当はきみ、私の神だ

山百合のまだらのように美醜あり一秒一瞬永遠になれ

すぐばれる距離ではかない嘘をつく掌の骨折ってやりたい

コンソメを溶かして作るオムライス隠したままの悲観精神

まごうことなき正直を見つけてる桜の下の壊れた死骸

暗がりで見つけた犬の目は丸い精神論なら間に合っている

火炎瓶選挙カー群れ投げつけてどういう罪になれるのだろう

平和だと思う満員電車中サラリーマンはジャンプ片手に

2015年5月8日金曜日

過去の短歌 窓窓窓に

冷たさも固さも黒さも知っている毒素混じりの可愛い恋よ

青空の端を切り裂き飛行機の金属部品がギラギラ光る

ギシャギシャと油が足りぬ自転車に少年Aの独り言聞く

濃色のコート蹴飛ばす風が吹く悪魔みたいな形していて

雷と雨風渇き夜会巻き生々しいほど金具が光る

世の中は満ち足りて鮫泳ぎ出す遠い水族館の斑点

黒服の休憩発光白いシャツ客引き避けて行け行け空虚

電球の切れかけ点滅信号と頭痛のシンクロ眠れない夜

ビルの窓反射していく電気車両窓窓窓に自分が映る

戸締りが永遠に終わらぬ夢を見る砂を吐かない貝に似た朝

2015年5月1日金曜日

題詠blog2015の事(3)

021:小
かわいくも小さくもないあくびしてあなたの髪に手ぐしを通す

022:砕
できるだけ醜く固い武器がほしい罪悪感を砕けるほどの

023:柱
二人して初冬の甘い氷柱噛む心は見えないからいとおしい

024:真
減らず口叩いて起こす持久戦真綿で首を絞めてやるから

025:さらさら
パステルのださいメタリックなピンクか弱さ持つ気はさらさらないの

026:湿
陰湿で片付くほどにかわいくて体内に飼う汚い悪魔

027:ダウン
終わりへのカウントダウン始まってあなたは猫を抱き締めている

028:改
知らぬ間に更改しゆく春の木々hallelujah叫ぶひたむきさ持ち

029:尺
無視をした舐め取る視線蛇のよう尺骨橈骨並べ玉骨

030:物
贖物に欠けたグラスの口紅を拭う手指のか弱さ強さ

2015年4月24日金曜日

過去の短歌 走れダーリン

空が青強い風から舌を出し誰かの地獄はどこかにあって

だいすき、ときらい、は同じ温度持ち五才児母はからから笑う

牛乳を雪平鍋で温める砂糖ひとさじかなしいふたり

君のこと好きとか軽く言えなくてでも言いたくて大事とか言う

不愉快を柔和な面に飼っている私はお前がすこぶる恐い

美男美女しか恋なんて許されぬ誤解を解いて走れダーリン

その人の広い背中に影落とすまだら模様の冬の木漏れ日

巣と餌を往復してく蟻たちよお前らみんな潰してやりたい

恵まれていると思える勘違い生クリームの角たてる朝

赤い爪食べられないとは知っているそれでも摘みたい毒蛇苺

2015年3月の短歌 デスマスク

くだらない一人ぼっちを持ち寄って誰かの為の影追いごっこ

ひ弱くて足りないだけのカルシウムかざした拳で何が出来るの

人参もワインも好きになったからあなたに傷をつけてあげるね

水墨画みたいな夜に酒を飲み極彩色の馬鹿をしようか

寒いだけ誰かの代わり抱きしめる刺せそうなほど尖る腰骨

鍋底を焦がして作るデスマスクお前らみんな不幸になあれ

構内に地下鉄入る音がする何処かで虎の鳴き声がする

好きだけど好きになっては貰えない選択ならばサロメになろう

怪獣は夜になったらやってくる玄関ドアにもたれて待つよ

眠そうな目をして語る悪いこと未来は全部通せんぼした

ニンゲンと人の間にあるものを知りたくなってまた旅に出る

2015年4月17日金曜日

過去の短歌 南極大陸で

愛おしいから口含む訳じゃない怯えて軋むその目が見たい

誕生日ケーキみたいに明確な幸せ選んでみせてください

恋をしてあぶくになって溶けだして天然人魚ミルクサイダー

ヘイ、ハッピーターンを決めて走り出せ魔法の粉は俺らの神だ

いくつから恋とかするのが醜いに転換するか教えてハイジ

シルバニアファミリーみたく順当な家庭で育つ不穏物体

友達の兄の名前を知っている女子校マジック走る嬌声

帰る家無いと応えてかたつむり嘘には嘘を抱く君がいる

この爪はいつだか南極大陸であなたを裂いたその日の名残

人生の選択肢なんてほとんどはドロップ缶にあるもの全部

雑記 食器と食パンとペンさん

SNSのTwitterで「食器と食パンとペン」さん、というアカウントがあり、
いろんな方の短歌に素敵な絵をつけて呟いてくださってます。

(Twitterで短歌を呟いている方にとって、食器と食パンとペンさんに
 絵を付けて頂けるのは相当なプレシャス体験なのです)



ええ、自慢です。
文字通り、死ぬほど嬉しい。

食器と食パンとペンさんのホームページ。かわいい。

2015年4月3日金曜日

題詠Blog2015の事(2)

011:怪
壊すなら全部消し去る潰しやる怪物であればどんなにいいか

012:おろか
目の前の掌さえもさわれない恋とはおろか者のすること

013:刊
週刊誌表紙を飾るゴシップで消えないあくびもう一度する

014:込
小賢しさあざとさ全部込み込みでお前が好きって言ってやるから

015:衛
そのうちに会えるものだと信じてる同じ衛星軌道たどって

016:荒
ぶつかって割れる眼鏡も荒れた手もあなたの為にこしらえたもの

017:画面
東京の夜の暗さは深すぎる液晶画面ほのかな蛍

018:救
傲慢に救い給えよ私らを腐敗概念口から出して

019:靴
可愛いらしい妄信はもう藪の中ガラスの靴は今は要らない

020:亜
恋愛の亜種じみているおままごと切り裂くだけは簡単なのに

2015年3月27日金曜日

2015年2月の短歌 美しきパフェ

泡立った波の寄せ間に笑うからあなた専用詩人でいよう(#短詩の風

駅前の宗教勧誘罵倒して天国じみた地獄は近く(場末サーガ)

老人は工事現場で説教を天国じみた地獄は近く(場末サーガ)

朝キャバの呼び込みの声猫の声天国じみた地獄は近く(場末サーガ)

夜は来る(地球四十六億年ぶんの)不安を引き連れてきて

目印を持たぬ町角人いきれ消え入りそうな淋しい迷子

愛だとかわからないから殴り出すしょうがないから涙を流す

真夜中に男の背中見る代わり炭酸水のあぶくを消して

丸ノ内女子アナみたいなOLの合間を縫って走る黒犬

煮えたぎるお鍋の中へ沈ませる硬い暗色女々しき自分

隣から聞こえる懐かしい声のギター音曲揺らす杯

よるのまちだれかがそばにいなくてもあるいていけるここちよいまち

毒喰わば皿までという過激さで一緒に行こうたのしい地獄

少しずつ毎日ほんの少しずつ死に近づいて取り戻す血肉

君想う先に煌めくどぶねずみ色した僕の自刃欲求

遅くまで寝過ぎた挙句夢を見た。鳥肌実が慰め役の。

枯れ枝を折ってやろうかこの指で禍々しくも光る太陽

人間の蒸せ返る群れ追いやられ夜のファミレス美しきパフェ

2015年3月13日金曜日

テーマ「猫」 うたらば第74回

うたらばさんで、「猫」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

誰からも同意を得たくない気分 全ての問いににゃーと答えよ
(じゃこさん)

猫になるその日がきたら真っ白な猫で何度もきみを横切る
(星乃咲月さん)

キッチンに君のかたちの穴があり仔猫と僕はそこで眠った
(木下龍也さん)

飼ったこともない猫に名をつけている天気予報に桜はあふれ
(虫武一俊さん)


Twitterで短歌投稿をしているとお名前を見受ける
機会の多い方々は、つまりは実力のある方、ということです。
概念として、生命体として、目の前の猫はこんなに愛おしい。
そうしてどうにも淋しい。毛皮の匂いまで感じられそうです。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。

願わくは場末の飲み屋で愛されて目当てにされる猫になりたい

淋しさは発情中の猫を呼ぶ誰かどうにか私を抱いて

だれにでも気があるようなふりをして猫しか見てないきみがきらいだ

2015年3月6日金曜日

題詠blog2015の事(1)

そもそも何故、BLOGをしているかというと、題詠blogをやりたかったからです。
しかしながらBloggerにはトラックバック機能がなかった、と。
ルールを無視するのも恐縮なんですが、
今年も題詠に沿い自己満足に作成を進めて参ります。

001:呼
誰でもいい何でもいいから助けてとあなたのことを必死に呼んだ

002:急
急かされて上り詰めたら仕舞いですナツメ電球灯りは暗い

003:要
物語主要人物にはいない二人でそっと悪事をしよう

004:栄
生ぬるい虚栄を見せて粘ってよぎらぎら光る欲情の町

005:中心
この狭い世界の中心にて叫ぶくろねこにゃんにゃんにゃんにゃにゃん

006:婦
手袋を私に向かって投げつける覚悟もなしに御婦人方は

007:度
接触を避けた会話は続かずに部屋の温度は上がり続ける

008:ジャム
憧れは無尽にあってコケモモのジャム瓶ひとつ魔法をかけて

009:異
カレーにはソースコロッケには醤油異星人との愉快生活

010:玉
秘密なら内緒と甘い声はするビー玉みたく黒目は光り

2015年2月20日金曜日

アンソロジー歌集「31/84」の事

短歌は皆様ご存知の通り、5・7・5・7・7の音節区切りで
計31文字で構成される詩形の一種です。そんなわけで
今年31歳になる方々とのアンソロジー歌集に参加させて頂きました。
アンソロジー歌集「31/84」

こちらでは歌集内容について簡単に感想を書いてみます。

「画布をひろげて」 (星乃咲月さん)
人生は切り取ったら、やさしい言葉と一緒に鑑賞したくなる
うつくしい絵になるのでしょう。色彩図鑑のようで素敵。


「一〇〇〇光年と一一三一五日」 (伊波真人さん)
今も昔も恋人たちは星を見て何を思うんだろう。
星は何を思わせるんだろう。星座早見表を引っ張り出したくなります。


「ケータイ宇宙論。」 (大木はち さん)
手紙を渡しに行ってた時代が、いまやメールにチャットになったけど、
けっきょく恋するのは変わらないとか、最高じゃあありませんか?


「うつろい」 (古井久茂さん)
序詞と縁語のみを使ったお歌だそうで、恥ずかしながら
意味を調べてしまいました。紙面の文字並びすら美しい技巧。


「30をこえて」 (さまよいくらげ さん)
而立、ですよ。孔子先生はおっしゃいましたよ。ええ、できてません。
だれかの30は、年齢でも個数でも単位でもあります。


「はこの中」 (白井舞さん)
とびきり狡猾でかわいらしくて果実の色したグロテスクな狂気。
京極夏彦氏の「魍魎の匣」を思い出しました。


「スプリング・オブ・ライフ」 (飯田彩乃さん)
文字を読めば、ほろほろ花びらが零れ落ち、声に出せば、
少女たちのはしゃぎ声が聞こえる幻覚。短歌の神髄とはこの事か。


「冬に」 (黒崎立体さん)
冬の空、川、街、人に溢れる冷たさに、知らない間に握り拳を
作ってしまう事を気付かされました。春なんて自分には要らない。


今回のアンソロジー企画を主宰してくださった黒崎立体様、
また「31/84」を読んでくださった皆様に、改めまして
菜の花の花束みたいな感謝の気持ちを。ありがとうございました。

2015年2月13日金曜日

2015年1月の短歌 ヒト型クッキー

きれいなの汚いの全部詰め込んでどこか遠くへいけるだろうか

新しい使徒の形を考えて君の笑顔を得たいと思う

外国の解凍肉の赤黒さ病葉のごと蝕んでいく

私にも傷を付けてと寄ってきてすり抜けていくずるい人たち

包丁で刺されたらきっと痛いねと深夜プロレス君と見ている

特定の人の気持ちがほしくって攫われすぎるピーチ姫たち

突風の先に揺れては干からびてあらゆるものが弛緩していく

いたらないところばかりが多すぎる不良品なら返品してる

不穏のふ不可逆圧縮吹雪のふファーストキッスうふふふふふふ

口にする容易な情緒不安定死んだら死んだでかなしいものね

ごめんなさいあたまがわるくてわかりません拒絶はどこへ行けるのだろう

わずかでもいいから好きだと言ってくれたまには揺れて生きてもみたい

コーヒーのカップに残る口紅が怪獣みたい破壊含んで

マニキュアは人差し指から剥げていく事情を知らぬお前に語る

一時間コーヒー黒い表面を見つめたままであなたは泣いた

幸せと言ってみやがれ売られゆく仔牛の暗い瞳見ながら

都合よくぜんぶ隠してしまいましょ雪は静かにだれか泣かして

どうしても優しいものに触れたくてたくさん焼こうヒト型クッキー

ご立派な御題目ほらてきめんだ僕ら私ら飢えている生

さよならや別れようとかその口で言っても多分甘く聞こえる

左手の古いかさぶた剥いでいる神話みたいなご都合主義で


2015年2月6日金曜日

題「雪」 歌会たかまがはら1月号

歌会たかまがはらさんで、2015年1月号「雪」というお題で
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

雪の白 心を病んだ友だちへけれどもきつく投げつけている
(虫武一俊さん)

わけなんて知らないほうがいいこともある心臓を流れ降る雪
(虫武一俊さん)

言葉は意思を持って人に伝えられるけど、
感傷すべてを伝えられるわけではない、と思っています。
が、虫武さんの短歌はもう、その自分の考えを
否定してくれるわけで。快い裏切りとでもいいましょうか。


自分は下記を投稿。またもや作れない状況で過去歌。

雪みたくポップコーンを散らばせるあの子のように泣き叫べたら

強い人弱い人みな雪のなか選ぶじゃなくて奪い去ってよ

電線の雀のように身を寄せて信頼なんてしてはいなくて

どうせならキャトルミューティレイションの話をしよう雪が止むまで

雪が降るエロイエロイラマサバクタニ道は容易に外されるもの

2015年1月23日金曜日

テーマ「明」 うたらば第72回

うたらばさんで、「明」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

肉球は世界平和の切り札と仔猫が機密を明かしてくれた
(山田水玉さん)

こんな機密明かされたら駄目。
猫のかわいさ相まってもう駄目。すごいお歌です。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。

明日は晴れよしんば誰か祈るでしょサプリメントの亜鉛はまずく

明後日はライ麦畑で捕まってハイエナみたく笑う約束

見せしめのように満月かがやいて影は一人で楽しく踊る

2015年1月16日金曜日

2014年12月の短歌 タリラリランの

ヤマザキのシュガートースト三角の隅をかじれば開く青春

蕨はねワラビって読む知っていた過去に男と住んでいた町

ハバネラは裏声ならず歌えしか悪ガキどもの口草となり

雨の降る朝に冷たい手をつなぐ漂白剤の匂いは冬に

ナポリタンスパゲッティが食べたくて深夜に走るGet Wild

全員が順路に沿って進みます波瀾万丈方向の指示

本当に欲しい言葉はくれないであなたの好き、はわたしをえぐる

ご機嫌にタリラリランのコニャニャチワ歌うあんたの鈍さが憎い

真剣にお前がいちばん大事とか見くびらないでお願いだから

中毒の根深い妄想捗って肝油ドロップ空っぽにする

叩いたら扉は自ら開けるものお前はお前攻めて行こうぜ

2015年1月9日金曜日

雑記 つづまやかに生きる


引越しが好きです。
過去には契約更新時期のたび、引越しをしていました。

何故かというと、一気に身辺整理できるから。
でも容易にできず、欲求不満が溜まる昨今。

で、定期的に高まる身辺整理熱。
ある程度、不要な本、服を処分しますが
根本的に何か間違ってる気がしてならない。

簡素化の意識が欠けているからこそ、不要なものを
増やしてしまうのではないか、とようやく気付いたのですよ。

選択肢過多って無駄だと思います。
リソース不足になる前にもっとできる事がある。
まずは自分の為に、つづまやかに生活しなければ、と
じっくり考えてしまったのですよ。

断捨離やミニマリストブームではありますが、
目指すところはフーテンの寅さんや
スナフキンな気がしています。

まずは、高校ジャージを捨てる所から。