2015年4月24日金曜日

過去の短歌 走れダーリン

空が青強い風から舌を出し誰かの地獄はどこかにあって

だいすき、ときらい、は同じ温度持ち五才児母はからから笑う

牛乳を雪平鍋で温める砂糖ひとさじかなしいふたり

君のこと好きとか軽く言えなくてでも言いたくて大事とか言う

不愉快を柔和な面に飼っている私はお前がすこぶる恐い

美男美女しか恋なんて許されぬ誤解を解いて走れダーリン

その人の広い背中に影落とすまだら模様の冬の木漏れ日

巣と餌を往復してく蟻たちよお前らみんな潰してやりたい

恵まれていると思える勘違い生クリームの角たてる朝

赤い爪食べられないとは知っているそれでも摘みたい毒蛇苺

2015年3月の短歌 デスマスク

くだらない一人ぼっちを持ち寄って誰かの為の影追いごっこ

ひ弱くて足りないだけのカルシウムかざした拳で何が出来るの

人参もワインも好きになったからあなたに傷をつけてあげるね

水墨画みたいな夜に酒を飲み極彩色の馬鹿をしようか

寒いだけ誰かの代わり抱きしめる刺せそうなほど尖る腰骨

鍋底を焦がして作るデスマスクお前らみんな不幸になあれ

構内に地下鉄入る音がする何処かで虎の鳴き声がする

好きだけど好きになっては貰えない選択ならばサロメになろう

怪獣は夜になったらやってくる玄関ドアにもたれて待つよ

眠そうな目をして語る悪いこと未来は全部通せんぼした

ニンゲンと人の間にあるものを知りたくなってまた旅に出る

2015年4月17日金曜日

過去の短歌 南極大陸で

愛おしいから口含む訳じゃない怯えて軋むその目が見たい

誕生日ケーキみたいに明確な幸せ選んでみせてください

恋をしてあぶくになって溶けだして天然人魚ミルクサイダー

ヘイ、ハッピーターンを決めて走り出せ魔法の粉は俺らの神だ

いくつから恋とかするのが醜いに転換するか教えてハイジ

シルバニアファミリーみたく順当な家庭で育つ不穏物体

友達の兄の名前を知っている女子校マジック走る嬌声

帰る家無いと応えてかたつむり嘘には嘘を抱く君がいる

この爪はいつだか南極大陸であなたを裂いたその日の名残

人生の選択肢なんてほとんどはドロップ缶にあるもの全部

雑記 食器と食パンとペンさん

SNSのTwitterで「食器と食パンとペン」さん、というアカウントがあり、
いろんな方の短歌に素敵な絵をつけて呟いてくださってます。

(Twitterで短歌を呟いている方にとって、食器と食パンとペンさんに
 絵を付けて頂けるのは相当なプレシャス体験なのです)



ええ、自慢です。
文字通り、死ぬほど嬉しい。

食器と食パンとペンさんのホームページ。かわいい。

2015年4月3日金曜日

題詠Blog2015の事(2)

011:怪
壊すなら全部消し去る潰しやる怪物であればどんなにいいか

012:おろか
目の前の掌さえもさわれない恋とはおろか者のすること

013:刊
週刊誌表紙を飾るゴシップで消えないあくびもう一度する

014:込
小賢しさあざとさ全部込み込みでお前が好きって言ってやるから

015:衛
そのうちに会えるものだと信じてる同じ衛星軌道たどって

016:荒
ぶつかって割れる眼鏡も荒れた手もあなたの為にこしらえたもの

017:画面
東京の夜の暗さは深すぎる液晶画面ほのかな蛍

018:救
傲慢に救い給えよ私らを腐敗概念口から出して

019:靴
可愛いらしい妄信はもう藪の中ガラスの靴は今は要らない

020:亜
恋愛の亜種じみているおままごと切り裂くだけは簡単なのに