2015年6月12日金曜日

2015年5月の短歌(2) ファンデーションの

日当たりの良いベランダに枯れていく色の分からぬサボテンの花

舐めとってファンデーションの味見して汗で混じれば情欲になる

茎製の小さな檻を作り出しこぼれる花はふにゃふにゃ笑う

贅沢は尽くし尽くして欲を言う透明な犬飼ってみたいの

水底の深い緑が恐ろしい巨大な臓腑ただ一人きり

細い首太陽からも隠したい知っているのは私だけでいい

歌ごえははるかはるかに伸びていく鯨になって壊す太陽

ここに居て良いよの許可が欲しいです煉瓦の家を積み上げるから

生き物としての毎日過ぎていき生野菜サラダ雑草の味

順繰りに割れた風船ひけらかす夏はいくらも閉じてしまうよ

傘の骨にわかたわんで折れやすく小さなテロル台風のあと

均衡の取れた和菓子を食んでいる暴君のごと溺れる夏は

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