2015年7月31日金曜日

2015年6月の短歌(2) メルシーメシー

最低の低の低まで昇華してひとり酒瓶割っていましょう

手に持った花は大体干からびるそういう求め方しか知らない

どす黒い独占欲とか言うほどにみっともないと言い切れないな

糞泥のごとく静かに夜明けきて音のならない私は眠る

やがて死ぬ運命論者連れ立って征く春を征く夏を潰して

蛍火の消える川底底の底かわりにタバコ灯してやろう

悪いことすんでのとこで止めといて破滅したくばどうか二人で

夏空にいろんな人のお喋りは罵倒と化して散るくじら雲

敬愛の果てにあけびの色をして裸に剥いて食ってしまうよ

寄り添って分け合うメープルシロップは透けて琥珀の津波を起こし

悲しいの果てがあるなら早く来いメルシーメシー明るい孤独

鎧捨て日なたの中の猫の顔ただの個人に戻させてくれ

屈伏をさせて欲しいと従って膝をついたら壊れるだけだ

鶏卵とトマトのような相性を望みあぐねて茹だる盛夏よ

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