2015年11月20日金曜日

2015年10月の短歌(2) サイコロの目は

この世から二人ぼっちを取り下げて一人さみしくひゃんひゃん泣くよ

絶対に嘘嘘睫毛目に入り狂わせるほど涙の応酬

嫌いなら嫌いと言えば完結の子供時代と私のいまと

あらかじめ知ってる嘘に網を張るよく欲望ぼうよく茫洋と

あたしって言い遣る個人の自尊心満員電車でもみくちゃになる

真昼間の浮かぶ気持ちに帆を立てるどうでもいいのどうでもいいの

幸せになりたいなんて不幸にも憧れている不良でもある

笑っててほしいと思う浅はかに水で作ったココアはまずく

迷うほど強い何かは持ってないただわがままな大きな子供

すごろくのあがり見えないままで振るサイコロの目はぜんぶ白色

犬の歯で噛むと血が出てしまうから目付きの悪い右目でにらむ

浮かんでは消える飛行機雲のなか私の骨は柔らかになる

冷え過ぎた指はどんどんぬるくなる他人と自分の汚れに満ちる

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