2016年1月29日金曜日

2015年12月の短歌(2) カブトガニ


形良い口から覗く歯は白く好意はきっと食われてしまう

カブトガニは血の半分を無くしても生きてる深夜そういう話

本当は許してほしいわけじゃない憎んでででも忘れないでて

香水の甘い匂いを選べずにバニラ風味の煙草をふかす

出窓から逃げ出すような星々と子供だましの茶番を踊る

淋しさにバランスは無く壊れてく不協和音はラム酒の香り

感情をきれいな箱に詰め込んで箱根細工の秘密をかける

にゃあと鳴きにゃあと返せば私たち日なたの中の毛玉になれる

空を飛ぶ鯨になって雲を食う尾鰭に添える現実のあと

雨の日に一匹金魚光っててつがう誰ともすれ違えない

吐き出せば汚物扱いされていく綺麗であったはずの感情

どんなにか汚れて壊れていたとして折れぬと言えば折れぬ心に

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