2016年7月22日金曜日

2016年6月の短歌(1) オーシャンゼリゼ


さすらいの文字を眺めて撫でさするとうに、諦め、られた、生活

幼児期に知ってる種類の永遠を使い倒して迎える夜明け

名前のない神様みたいな生き物を心の中で飼って痛ぶる

さよならとおやすみなさいの間には語らずに足る何かがあって

一人だけ残されている駅にいてベンチの上の眼鏡と遊ぶ

幸せになっておくれよ花を背に負って流れるオーシャンゼリゼ

先を行く見目麗しき人たちは花の名前を言えやしないさ

欲しいもの全部だぜんぶ全てだと呪文のように括る後悔

確認をするみたいなのそういうの私は私で余白じゃあない

晴れた日の乾いた和音広がって布団を叩く演奏者たち

靴さえも履かず出された夜の星むかしむかしの物の語り部

ああ実にげにかわいそうな夜である砂糖壺の中閉じ込めている

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