2016年7月29日金曜日

2016年6月の短歌(2) 餡の残虐


走ってもどうにもならない夜だから乱視で探すこぐまの星座

鯛焼きを一匹二匹と数え上げ腹を膨らす餡の残虐

背中押す優しさなんて持ってない蹴飛ばすだけの乱暴がある

つむじから髄液が出て気化をして竜になったら叫べばいいよ

錆びついた金属製の階段はう、み、は、ひ、ろ、い、な、奏でてみたり

耳鳴りの高鳴る夜は胸も鳴り眺める過去の英雄譚よ

友情の地獄のような果てにいて一人終電逃してはいる

かけられる優しさのせいで露呈する汚いだけの指針とやらの

正しさが欲しくて欲しがるペパミントメンソール氷すべてを冷やす

奪い合い求めて与え私には死刑宣告みたいな言葉

1ミリも残されてない杯を振り眺める朧月の黄身色

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