2016年11月11日金曜日

2016年9月の短歌(1) 冷凍ピザを溶かす理由

二人だけで通じる名前で呼び合ってお墓の中で交わす約束

夜に降る希望は鈍く輝いて私を明日に生かしたりする

きれいだと汚れた手で言うごめんねと天秤にかけ残るさびしさ

軽薄なひまわり黄色目を焼いて知らぬ誰かの思い出語る

水色のエナメルの爪夜光る両生類になれるつもりで

千一夜数えて眠る例えとか冗談だらけに過ぎる宴会

悪い方悪い方へと蛇は行くここより良いならどこへでも行く

つらいとか淋しいとかをささやいてバターコーヒー浮かぶ満月

強すぎる気持ちはたぶん恋じゃない煮立ったジャムの果実を潰す

舌の上慣らす軟膏罪悪の炎症に効く白い苦味よ

鳥として生まれさえずる籠の中ねがえば竜になれたとしても

夜きゅうに急にさびしくなっちまう冷凍ピザを溶かす理由は

不用意な発言をして嫌われる準備はいいかさあ始めよう

真夜中の布団の中で考えるどうして迷子になっているのか

道に吐く唾は汚く飛び散った冬は間も無く誰にでも来る

埋めるのが空腹なのか空虚かも分からないまま迎える夜明け

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