2017年2月10日金曜日

2017年1月の短歌(1) 海を描く日

小説に描けぬような恋をする卑しさ屈折讃えよ君よ

壁紙を全部オリーブ色にして一緒に不幸になってあげるよ

浴槽のふちに残った尻の跡まだ実体を持ったにんげん

終電は逃さぬ女の足早く幾多の塵を蹴散らせてきた

終電の窓に映った白い顔嘆いた所で変わらぬ日々よ

苦しいのかなしいの全部お仕着せる思考停止のお姫様がた

親指を浸すシアンのインク壺だれかの為に海を描く日

自画像に影を入れ込む朝化粧後ろ暗いから生きていけるの

私小説映画半券しおりにし窓に貼りつく雪の花々

二階席中華料理屋ひとびとは階段、料理はエレベータより

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