2017年6月30日金曜日

過去の短歌 エノテカ緑


終電車ブレーキの音悲鳴とか猫の声似て寝しなに溺れ

目の前に浮かんで消える不自由な魚たち傘重く濡らして

人のなか雑踏のなか歩いてく泳ぎの苦手な魚みたいに

柘榴剥く指の漿液きらきらと糸切り歯見せる彼は残酷

快楽は尽きる事なく上へ行く煮えた煮えたよ南瓜が煮えた

「お互いの身体を使ってお互いを満たすだけ」そんな事無い多分

雨の中発酵してく脳内ととんちんかんな君の鼻歌

起伏する心よお前を冷蔵庫入れて冷静にさせてやろうか

血を求め汗を求めて迷い込むエノテカ緑光る暗闇

好きだよ、と何度聞いても嘘だとか思えないでいる深夜25時

2017年6月23日金曜日

2017年4月の短歌 一番辛いリステリン

埋められるさみしさならばわかってる始末におえぬわがまま孤独

淋しいと言ってどうにもならないとわかってるのにどうにもさみしい

概念の毛布の中で嘘を吐く耳の中には海を飼ってる

月だって太陽だって沈むから不純はとても美しいのだ

安心を得たら今度は不安だねそういう人を好きになったね

わがままを言えどどうにもならないよ一人ことこと煮る春野菜

殴られた人の顔見慣れ夜は更けまともな顔はうつくしいこと

自らを誠実と吹く人の群れ恥じらい知らぬ人たちの群れ

春の夜迷子になってしまうから光る手首を見せてほしいよ

浅ましいそう思えるだけマシだとか路地裏夜更けふたりぼっちで

好きなのは一番辛いリステリンどうでも良いほど春は嫌いだ

自由にも体力のいる時代だね信じもしない占い見つつ