2015年11月6日金曜日

過去の短歌 ダンスホールだ

情報がいくら氾濫していても当事者にしか分からない事

人生を糞のようだ、と言う君と喫する酒はほのかに甘し 

車中にて扇子を振りし若人よ猫の目蛇の目子鬼たちの目

恨めしくアブラゼミ鳴く猛暑日に人を乞う乞う人を恋う恋う

足元に転がる西瓜夏の宵紳士の呻く生首光る

俗世間という語の似合う我を見て犬の吠ゆるは陶然と「死ね」

太陽を見詰めて思うかなしみは涙の出ない訃報に似てる

淋しくて最終電車を待つ人は腕を振らせて擬似のお別れ

ご機嫌な青年の歌響く夜 駅のホームはダンスホールだ

制帽の白線外れ梅雨の頃つるりと舐める膝の裏見る

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