地図もなく知らない町の道を行くどの家も人も同じ顔だけ
育ちすぎた羊の角を切るような仕事がしたい夜々のこと
暗闇で光る目玉のいくつかを見ないで向かうからからの森
人といる青紫の夜の底とおくに見える馬鹿でかい鳥
青色の防犯灯はほの光りお前が世界を滅ぼしてくれ
指先を見てる人のなか車窓から夕暮れ時をずっと見ていた
幸福が待ち受けていると思えずに満身創痍でいたる結末
血の色の何かを付けて夜に行く踊れば響くコンクリの道
隈は濃く世間を呪った風でいてあなたは黄色い花を持ってる
質量のない熱だけが目の前で布をはだけて笑い転げる
夜かけるヘアドライヤー音よく響きひとりで暮らす部屋の静けさ
太陽と延々仲良く出来なくて周回遅れの夏を始める
自分から逃げ場なくしたてっぺんで全部きたなく覆してやる
スパゲッティ・ウィズ・ミートボール白シャツを心置きなく真っ赤に汚す
夏はまだ続く誰かのハンカチを汗浸しにし謝れぬまま
言い訳の幕間あけて立ち尽くす私一人の影の色濃く
いくらでも孤独だそれは確実で海辺で貝を拾いあった日
たましいの乗り物として形取る我ら我らの不均一な手