2018年10月5日金曜日

2018年7月くらいの短歌 五枚切り

死にかけの蝉なみの生を駆け抜ける夜スニーカー鳴らす蛍光

人並みに生きる力を手に入れるコーヒーだけで眠れない夜

心臓の中に小さな海がありきれいな貝を見つけたりする

月曜を乗り切ったのでスーパーで3割引の鮨詰めを買う

夏が濃く例えば誰かのためになら消えちゃうなんて言えちゃう人ら

夏の日の夕方に食む西瓜ごと私を愛してくれぬか否か

無邪気さで付け入る隙をこじ開ける優しさずるさそういう酷さ

まっとうに恋とか愛をしてみても安全剃刀状の不安を

人生はまだまだ続く五枚切りパンの最後を頬張りながら

道端のガム、犬の糞、吐瀉物に更に加えて私の嗚咽

夢ならば口中で噛むガムみたく膨らませて割るそういう仕分け

天国は片手で数えるだけのこと濁った気持ち巻き添えにして

嫌なこと辛いこと怖いこと全部もっと過激なやり方で消す