2018年12月28日金曜日

過去の短歌 アロンアルファは


青と黒言葉を投げる狭い部屋絡んだ前髪視界をふさぐ

石鹸の百合の花匂い甘だるく白いまぶたをなぞって彼岸

我々を冷たく照らす蛍光灯アロンアルファは神の手に有る

君が為惜しからざりし緑色クリームソーダのアイスを溶かす

新しいエナメルの靴履いた朝私は無敵だ雨よ降れ降れ

梅雨晴れ間集合団地の蒲団干し小学生の歯並びに似て

さおだけを売る甘い声鳴らしつつ車の主は煙草を吸って

新しいおもちゃを乞えば舌を出す犬の振りした快適生活

女には花を贈れば喜ぶと思い込んでる男が嫌い

生きている価値見つけずに過ごすまま意味なく口にレゾンデートル

2018年12月14日金曜日

過去の短歌 こたつむりさん

ゴム手して「オペを始める」言えばきみ「しぇんちぇえ」ピノコの真似をするから

例えばの話をしては滑り行く淡い輪郭曜日のすきま

絶対の信仰に似た恋人は私に五月刻んで行って

ふしだらな言葉で檻を作り出し少女は爪を噛み続けてる

イチゴ味これはある種の呪いなの歪んで笑うかわいいお口

イエティがいない方には賭けるけどあなたのことを好きにはならない

波動拳繰り返してもお湯が沸くわけじゃないのよこたつむりさん

楽観の権化のような人といて憂鬱とかに甘えてみたい

思春期はピンクの竜の尾に付けて後悔とともに飛ばせてやろう

深海にゆったり沈んでいけたらねたぶん憎悪も愛せるだろう