2020年4月17日金曜日

2020年2-3月くらいの短歌 希望ささやく

何もかも面倒くさくて放り出しそうして死んでるように生きてる

ずぶ濡れの誰かのそばに寄り添って呪いのように希望ささやく

祈る神を持っていないが生きていて食事の前に両手合わせる

飼い犬は全信頼を具現化し手指顔首舐めまわしてる

尊厳はすり潰されて粉になり風に合わせて巻き散っている

重過ぎる頭の花が折れていく自由のようで不自由なこと

必要とぼんやりふんわりされている黄色い花の焦点合わず

春が来る体を穿つ雨が降り音楽だけが優しいふりを

今ですら明日が来るのが怖いので死ぬまでずっと怖いのだろう

君が言う夜が怖くて眠れぬとだから目を閉じ眠るのだろう

薄い陽の灯りの下で舌を噛むこうして怒りを抱えて生きる

みちびきのように小雨は降りしきり街灯の下たまる迷い蛾

三越のある都市にいてべらぼうな消費の波をたゆたっている

灰色のグラデーションの毎日を色取る映画館の紅色

かなしいと思えお前の感情を食っては育つ象になるから

怖すぎる夜がどこでも落ちている誰も拾わず早足でゆく