何もかも面倒くさくて放り出しそうして死んでるように生きてる
ずぶ濡れの誰かのそばに寄り添って呪いのように希望ささやく
祈る神を持っていないが生きていて食事の前に両手合わせる
飼い犬は全信頼を具現化し手指顔首舐めまわしてる
尊厳はすり潰されて粉になり風に合わせて巻き散っている
重過ぎる頭の花が折れていく自由のようで不自由なこと
必要とぼんやりふんわりされている黄色い花の焦点合わず
春が来る体を穿つ雨が降り音楽だけが優しいふりを
今ですら明日が来るのが怖いので死ぬまでずっと怖いのだろう
君が言う夜が怖くて眠れぬとだから目を閉じ眠るのだろう
薄い陽の灯りの下で舌を噛むこうして怒りを抱えて生きる
みちびきのように小雨は降りしきり街灯の下たまる迷い蛾
三越のある都市にいてべらぼうな消費の波をたゆたっている
灰色のグラデーションの毎日を色取る映画館の紅色
かなしいと思えお前の感情を食っては育つ象になるから
怖すぎる夜がどこでも落ちている誰も拾わず早足でゆく