ラベル うたらば の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル うたらば の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2017年3月10日金曜日

テーマ「道」 うたらば第107回

うたらばさんで、「道」というテーマで短歌募集をされていました。
採用歌で気になったものをご紹介。

歩道橋登れば無敵みたいだな信号の列をはるばると見る
(長月優さん)

間違ひに気づかないままどこまでも菜の花色の電車でゆかう
(有村桔梗さん)

時節柄、春を感じさせる短歌が多く感じられましたね。

夜の一本道の道路、虫の目みたいに光る信号機とか、
歩道橋の上の無敵感、すごいよくわかる。

身近な菜の花色って言ったら、西武新宿線の車両で
行き先を間違えても、まあいいや、行ってみよ、っていう
大らかさ、なんて愛するしかないだろう。

日常や感情を切り取って共感をさせる歌は強い。そして好きだ。
真摯なことを見ていると幸福である。

自分は下記を投稿。

道に吐く唾は汚く飛び散った冬は間も無く誰にでも来る

撃鉄を起こせ我等を阻むもの蹴散らせ行けよ葉桜の道

道に咲く花々吐瀉物たかる鳩わたしの願いは生きていくこと

2017年1月13日金曜日

テーマ「先生」 うたらば第104回

うたらばさんで、「先生」というテーマで短歌募集をされていました。
採用歌で気になったものをご紹介。

カエサルは何度でも死ぬ世界史の教師の声でもう一度死ぬ
(大橋春人さん)

ゴリラとふあだ名の教師は胸の花ふるはすやうに校歌うたへり
(泳二さん)

学校の先生って尊敬と侮蔑の範囲が広かったけれど
共通しているのは、子供たちより先に生きた大人がいるという事。
十代の恥ずかしい全能感を喚起されてしまう。

自分は下記を投稿。

なめらかな文字に記され恩師の死手向ける冬の背中の寒さ

安っぽい証書に太く記される仰げば憎し我が師の恩を

息を吸うように嘘つく人といて愛情なんて教えてもらう

2016年10月14日金曜日

テーマ「恋」 うたらば第100回

うたらばさんで、「恋」というテーマで短歌募集をされていました。
開催100回なんですね、おめでとうございます。
多忙ながら継続する運営者の方、尊敬の念しかないです。
さて、採用歌で気になったものをご紹介。

ラブレターびりびり裂いてあたまから明るいだけの雨降らせたい
(黒井いづみさん)

ひまわりが光に向かって咲くならばわたしはきみに向かって咲きたい
(九条はじめさん)

真四角の窓からあなたが見えたとき喫煙室が聖域となる
(稲垣三鷹さん)

恋をしている状態って、一種の精神疾患罹患状態と聞いた事がある。
真偽は知りませんけれど。
両想いよりも片思いって、醜い癖に美しいから手に負えない。


自分は下記を投稿。かわいい恋がしたいですね(棒)

与えるは愛で欲しいは恋という壊したいのは何だというの

夏が来て気が狂うような夏が来てまた気が狂うような恋をするのだ

欲望の強いばかりが超過して君をいつしか潰すのだろう

人のいない油のような海にいて溺れてしまいたいだけの恋

さよならや別れようとかその口で言っても多分甘く聞こえる

手に持った花は大体干からびるそういう求め方しか知らない

2016年9月16日金曜日

テーマ「スポーツ」 うたらば第99回

うたらばさんで、「スポーツ」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

「位置について」の「位置に」がどこかわからない なのにピストル鳴って人生
(西村曜さん)

とおつひとマツダスタジアム沸きたれば人間の血は広島のいろ
(牛隆佑さん)

血沸き肉躍る体育の祭典がブラジルであったらしいですが
冬季五輪の方が好きなんですよね、見てて楽しめる競技が多いから。
夏のスポーツは過去の苦行(水飲んではいけない世代)を
思い出してつらくなる。

今回はスポーツを楽しむリア充短歌なんでしょ?と思ったら
なんとまあ、すごい。人生そのものがスポーツである。
広島カープ、25年ぶりの優勝おめでとうございます。

自分は下記を投稿。

水色のプール塩素の匂いして見えぬ太陽あなたを想う

美男美女しか恋なんて許されぬ誤解を解いて走れダーリン

十五歳極度にしなる右腕の放物線はセンターを越え

2016年6月3日金曜日

テーマ「笑」 うたらば第94回

うたらばさんで、「笑」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

笑点もやがては朽ちていくように永遠なんてないのだと知る
 (青木健一さん)

「絶対に笑ってはいけないのね」と真顔で年を越している母
(関根裕治さん)

日常生活の笑ではなく、双方テレビ番組、それも大好きな。
その中にある悲喜劇も含んでて、どうにも好きなお歌たち。

余談ですが、桂歌丸師匠は噺家として途方もなく
色気がありますよね。立ち居振る舞いも近くで見てみたい。


自分は下記を投稿。

誰にでも優しいんだと知っている馬鹿だと言うとそうねと笑う

ああこれは戦い方を知っている目だけで笑う悪い女だ

笑っててほしいと思う浅はかに水で作ったココアはまずく

2016年4月22日金曜日

テーマ「地」 うたらば第92回

うたらばさんで、「地」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

地下鉄はわたしひとりを食べこぼし暗闇のなか逃げ去っていく
(小嶋えにさん)

地下鉄の独特の感触って不穏でとてもいい。
だからこそ東京に来て何年も経つけど、いまだに、怖い。

自分は下記を投稿。

路地裏に捨てる昨日の葛藤は苦い唾液を過剰にさせた

人と猫、花とじょうろの間に立ってそういう愛も美しいから

手に持った花は大体干からびるそういう求め方しか知らない

2016年3月25日金曜日

テーマ「無」 うたらば第90回

うたらばさんで、「無」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

無花果に首突っ込んで死ぬ蟻をうらやむような酒の飲み方
(外川菊絵さん)

何事もなかったような顔をしていつまでも手を洗い続ける
(えんどうけいこさん)

生活の中の綻びを、短歌って31文字で空気や過去まで
含ませて表現できるんですよ、すごくないですか。

自分は下記を投稿。
無、って漢字を使う単語で、一番好きなのは「無頼」です。
心に隠して抱えて生きていきたい。

便箋を何枚無駄にしたことか前略、あなたが恋しいのです

一生のうちまばたきで目を瞑るその数回を無限に愛す

オープンザドアーあんたが思うほど人生甘くは無いはずだから


2015年9月11日金曜日

テーマ「夢」 うたらば第82回

うたらばさんで、「夢」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

夢を見よう(※布団でじゃない) 未来への地図を描こう(※布団にじゃない)
(あみーさん)

真鍮の蛇口を夢で締め忘れしずかに沈む遠くの小島
(ユキノ進さん)

コミカルなのとロマンチック系に分かれる中で、
好きだ、と素直に思えた二首です。
有本利夫や舟越桂の作品のような他人の夢。
覗き見する悪趣味は人類共通の欲求だろう。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。
ずさんが過ぎる最近。


メロドラマみたいな夢を見てしまうそして卑屈な自分が愛しい

怪獣は夜になったらやってくる玄関ドアにもたれて待つよ

新しい生き物になる何もかも許せるような生き物になる

2015年3月13日金曜日

テーマ「猫」 うたらば第74回

うたらばさんで、「猫」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

誰からも同意を得たくない気分 全ての問いににゃーと答えよ
(じゃこさん)

猫になるその日がきたら真っ白な猫で何度もきみを横切る
(星乃咲月さん)

キッチンに君のかたちの穴があり仔猫と僕はそこで眠った
(木下龍也さん)

飼ったこともない猫に名をつけている天気予報に桜はあふれ
(虫武一俊さん)


Twitterで短歌投稿をしているとお名前を見受ける
機会の多い方々は、つまりは実力のある方、ということです。
概念として、生命体として、目の前の猫はこんなに愛おしい。
そうしてどうにも淋しい。毛皮の匂いまで感じられそうです。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。

願わくは場末の飲み屋で愛されて目当てにされる猫になりたい

淋しさは発情中の猫を呼ぶ誰かどうにか私を抱いて

だれにでも気があるようなふりをして猫しか見てないきみがきらいだ

2015年1月23日金曜日

テーマ「明」 うたらば第72回

うたらばさんで、「明」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

肉球は世界平和の切り札と仔猫が機密を明かしてくれた
(山田水玉さん)

こんな機密明かされたら駄目。
猫のかわいさ相まってもう駄目。すごいお歌です。


自分は下記を投稿。どうにも作れず過去歌投稿。で、不採用。

明日は晴れよしんば誰か祈るでしょサプリメントの亜鉛はまずく

明後日はライ麦畑で捕まってハイエナみたく笑う約束

見せしめのように満月かがやいて影は一人で楽しく踊る

2014年11月14日金曜日

テーマ「一」 うたらば第69回

うたらばさんで、「一」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

退屈な夜を迎えるのが嫌で一等星にあだ名をつける
(大木はちさん)

(世界一さみしい音はなんだらう)市バスのドアが開いて閉まる
(伊波虎英さん)

どうしようもなく孤高の存在ではあっても、
周囲にはたくさんの事物が溢れている、
数字の一についてはそんな印象がある。
Theではなくaに対しての、柔らかい憧れがあるというか。

自分は下記を投稿。過去歌。

覚悟とか一生かけてもできないや秋味ビールのあぶくは琥珀

甘辛煮茄子の切り込みやさしくてもう一度だけ君を抱きたい

2014年10月3日金曜日

テーマ「茶」 うたらば第67回

うたらばさんで、「茶」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

なんとなく生きる私の手はいつも殻の茶色い卵を選ぶ
(木下龍也さん)

革靴の黒黒黒に茶程度の脆い個性で今日を生き抜く
(やじこさん)

日常の中にある色の中で、茶色ってどんな存在?
ふっと指摘されて無意識の中の強烈な意識を
気付かされる短歌だと思う。
弱い人の持つ「自分の弱さを知っている強さ」を感じる。

自分は下記を投稿。喫茶店での出来事。

先に行く人の残した珈琲がやたら黒くて少しさみしい



2014年8月8日金曜日

テーマ「後」 うたらば第64回

うたらばさんで、「後」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

活躍をしてねその後は順調に挫折をしてね、応援してる。
(たえなかすずさん)

はじめますじゃなくてはじめましたって事後報告で来た夏も往く
(山田水玉さん)

正直、ずるい、と思ってしまった。
夏は容赦なくやってきて、また名残を惜しんでも
勝手に過ぎ去っていくようなどうしようもない恋みたいだ。

自分は下記を投稿。酔っぱらった勢いで投稿する迷惑千万クオリティ。

理由など全部が全部後付けの論理で括る被害妄想

夏の雨他の誰かが好きだって後から聞いて濡らす制服

地球儀を回して世界一周を目論む人の後頭部見ゆ

情欲と常識かける天秤に少しの後ろめたさを乗せる

改札をくぐらなかった後悔と誰かの笑顔思い出してる

安っぽい陳腐な後ろめたさですギブミーギブミー愛をください

猫ちゃんの後頭部ばかり気にしてる君が愛しい猫が愛しい

2014年5月30日金曜日

テーマ「旅」 うたらば第61回

うたらばさんで、「旅」というテーマで
短歌募集をされていました。
自分は下記を投稿。

ポケットに秘密たっぷり詰め込んで一人ぼっちで捨てに行く旅

犯人と刑事は僕の顔をして寝台列車揺られて眠る

2014年4月18日金曜日

テーマ「切」 うたらば第59回

うたらばさんで、「切」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

人間の頭と同じ大きさのキャベツを すとん 半分に切る
(あみーさん)

内省の時間と思うキッチンに葱を切るためうつむくときは
(高松紗都子さん)

台所中心。
台所に広がる宇宙空間というか、料理していると冷静になります。
人間の頭の大きさのキャベツを切る時の潔い音、
葱を切る時の涙が流れてくる事。
誰かの存在ではなく、自分一人の空間の中へ向かう。

自分は下記を投稿。採用にはいたりませんでしたが作ってて楽しかった。

左手でちぎるアドレスSの項ラインマーカーきみの痕跡

半分にホールケーキを切り分ける超幸せでいさせてあげる

切りがない欲望などを持っちゃって月に吠えてはいるのです、まだ

2014年3月28日金曜日

テーマ「春」 うたらば第58回

うたらばさんで、「春」というテーマで
短歌募集をされていました。採用歌で気になったものをご紹介。

視界の端やぶられたかと思ふほど溢れくるなり菜の花の黄
(飯田彩乃さん)

でも僕は花ではなくて雪解けの君を汚せる泥になりたい
(円さん)

ふきのとう素揚げしてまだほろ苦い 波打つような君との時間
(窪田圭さん)

色鮮やかに切実に、劣等感と憧れがないまぜで、
しかしそれだけではない。
春は喜びの季節とも言われますが、個人的にそんな事は、ない。
切り取った情景が脳内にぐわっ、と広がる歌たちです。

自分は下記を投稿。採用して頂けたのが嬉しくてビールを買いました。
800首近い選歌をされている、と目にし、量よりも質、
選歌基準をよく読んで投稿しようと反省しました。

青春に静かにバグるわたしたち甘くたやすく引き金を引く

どうせなら嫌な女になってやる(都合の)いい子卒業決めて

糞寒い三月に舞う花びらは誰を泣かせてしまうのだろう

芽キャベツは目玉と同じ固さだとシチューをつつく君のいる春

恋は死に聖者の顔で春を待つ雪が溶けたら土に埋めよう

またわたし君の強さにつけ込んで桜並木はこんなにきれい

歌わずにいられぬ春の泥を踏む眩しく駆けるパステルカラー

屈折を愛せるほどに甘くなる春よ私を突き抜いていけ