2016年9月9日金曜日

2016年7月の短歌(3) 蛾でもいい

月並みな不幸にいっとう憧れて薄いカルピス飲み干せば夏

左手の中指第二関節の手前の深さきみの口蓋

責任を果たせないから望めない安い不幸に慣れすぎている

来世でも名前を呼んでもらえれば例えば蛾でもいいとは思う

舌先で溶けてく安い頭痛薬やさしいなんて容易じゃないよ

優しさを剥製にして手に取って無残な日々を撫で回してる

色のある雨降る景色どこにでも水の匂いは静かに甘い

最悪のシナリオだけを考えて過ぎてく夏を羨んでいる

苦しいと飲みたい薬は別々でプラスチックのぞんざいな味

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