2016年3月18日金曜日

題「オノマトペ」 歌会たかまがはら2月号

歌会たかまがはらさんで、2016年2月「オノマトペ」というお題で
短歌募集をされていました。
気になった短歌をご紹介。

ふわふわと呼べなくなった物体と別れる次のふわふわを買う
(姉野もねさん)

新しいふわふわと寝る少しだけ前いたふわふわを思い出す
(姉野もねさん)

猫、ぬいぐるみ、または人間の女かも、心にいる何かなのかもしれない。
これオノマトペでしか表現できない!と素直にびっくりして、
同時に非常に淋しくなれたお歌たちです。
入沢康夫の「キラキラヒカル」という詩をちょっと思い出しました。

オノマトペについて詳細はWikipediaあたりを見て頂きたいです。
こんなに生活に染み付いてるのに、だいたいが会話や口語でしか
聞かれないのは、面白いですよね。

自分は下記を投稿。
考えてるうちにオノマトペのゲシュタルト崩壊を起こしました。

石けんの泡ふわふわに手を洗うまともに生きる自覚がほしい

はらはらと歌うようにも溢れ落つ花びらのごと溶けていくきみ

不穏のふ不可逆圧縮吹雪のふファーストキッスうふふふふふふ

あらゆると弛むゆるゆる流れ出す許す赦さず燃る夕鶴

後悔を(ポクポクチーン)する事に(ポクポクチーン)慣れてはいない

ぬけぬけと月が綺麗だなんて言う他意はないのを知っているけど

制度的予告抑制支配欲世俗に塗れ歌え聖歌を

ふあふあのクリーム添えたパンケーキ女子なら好きって言っちゃう暴力

鉄塔をくるくる回る子供たち死は緩慢な光るたてがみ

2016年3月11日金曜日

2016年2月の短歌(1) カリカリベーコン


湿り気の強い夜越え朝が来るカリカリベーコン玉子を添えて

口に出すだけの事柄まだら柄わたしの孤独はわたしのものだ

罪悪のにおいをつけて走り出す止まる即ち老いる、否々

自惚れを許してほしい少しくらい弱さを見せる人を見つけて

人と猫、花とじょうろの間に立ってそういう愛も美しいから

ささやかに命いのちの連続へ小さい口で応じる強さ

鳥小屋の孔雀は眠る嵐の日ゆたり虹色羽根を刻んで

鮮やかな終わりを見せて消えていく淋しいなんて嘘つく花火

ゆすらうめあぶく菜の花紅の花孤独な理由を数えるかわり

何かしら嘘をつかなきゃ止まれない街灯に沿う回遊魚たち

晴天の下に震える万国旗きょうは死ぬのにもってこいの日

夜遅く仕事のことを考えてレンジの中でポップコーンは

2016年2月26日金曜日

2016年1月の短歌(3) デルモンテトマトジュース



病的に目出度い頭で考えるただひと匙の不仕合せごと

心身の健康なほど凪いだ空なんであなたが泣くのだろうか

数値化のできないことで責められるあの日あの時何故キスしたか

与えられ慣れ過ぎている腕を編み勝者と敗者のお話をして

脆弱を言葉にすれば壁になり強い自分を崩してくだけ

葡萄酒で俄かの暖を取るようにお仕舞いでしょう我等このまま

どうなってもいいような夜、冬の町、傷が出来ては、治らずに、雪

キスをして君が毎日痛がった虫歯移ってしまえばいいよ

デルモンテトマトジュースで作ることレシピ通りの媚びた血液

次の日もその次の日もその次も死んだ目をして我等は笑う

ただ単に記号化されて食べられて消費されてくおんなのこ達

2016年2月19日金曜日

2016年1月の短歌(2) 保証人欄


チョコチップクッキーまみれ指の味発狂思考に足りない刺激

魂の重さの分のキャラメルを頬張りながら雪道を行く

言い訳を100パターンは用意して正しさをまだ信じていたい

なけなしの卑屈抱えて時を乞う露悪するほど愛しく思え

飲み込んだ言葉胃の腑を焼いていく甘苦しいだけ熱を絶てない

誠実で時々頭が悪いとこ全部合わせて好きだったんだ

何もかも暴力的に押し流しいっそ奈落へ落ちて行こうか

寄る辺ない保証人欄空きのまま角砂糖ただ溶けていくのみ

情交を果たさぬうちに流されるかつて一部であった青い血

痛みまで愛せと記憶は語らって音階みたいな叫びを上げる

嘆けとて余白の目立つ書類たち紙飛行機にし消えてしまえよ

想像の見えない海に潜りこむ世界にたった一人の呼吸

2016年2月12日金曜日

2016年1月の短歌(1) 祥月命日


明らかに不幸になれる例として君の代わりに死ねそうなこと

今すぐに死んだら悲しい人もいて祥月命日選ぶやましさ

行けばいい酒と詩集を詰め込んで雪しか見えぬ電車に乗って

傷だとか跡を残してあげたくてひらひら揺れる首の三角

牛乳に睡眠薬の砂糖入れ淋しい夢に飢えきる前に

潰し合うヨソのお家の死因たち干し餅にでもして食っちまえ

逃げ場だけ残して触れるこれ以上知ったら離れられなくなるし

安物の封筒開けてぐちゃぐちゃに一枚余分の便箋壊す

最後まで嘘つきでいて地獄でも天国だって言っちゃっていて

まだ白い産毛の光る背を向ける肩甲骨に見えない翼

週末はこれから好きになる人を探せるように自分を探す