2017年5月5日金曜日

2017年3月の短歌(3) 等しくきれい

こころざす道はほうぼうあるけれどイヌノフグリは等しくきれい

大切にするって言ってゴミを見る目でめちゃくちゃに壊してみてよ

いつ死んでもいいやだなんて桜、背に笑顔だきみは嫌になる程

単純で陳腐な終わりあなたって白雪姫の王子みたいね

淋しいの形のままで痕になる誰もお前を愛しちゃくれぬ

幸福は抱き潰せる雛弱くって壊さずいるのは無理だと思う

傍らに誰かの熱を置くことを覚えさせたの誰だか知らぬ

ぜいたくや欲は独りを駄目にする甘い弱さは独りを壊す

しおりごと雨の匂いを挟み込む穏やかすぎてただただ怖い

2017年4月28日金曜日

2017年3月の短歌(2) 不機嫌、否決

 かわいそうかわいい私は永遠に一人でこなす楽しい世界

伏線を回収するよう動いたのこのサヨナラは至極当然

愛情を言葉にしたらおしまいと君が言うからおしまいにする

退屈を買えば卑屈も付いてくるそういう風に過ぎてく夜明け

役割を与えられ与えうなずいて人生全てをやり直せたら

冬が去りまたかなしさを忘れるよどこかに潜む誰かのなごり

幸せになりたいなんて知らないの妖怪人間ベムの結末

好きだって言えば交渉になる町であなたのことを嫌いと言えない

出汁のきく玉子焼きすら輝いてわたし由来の不機嫌、否決

2017年4月21日金曜日

2017年3月の短歌(1) 隠さない主義

謝れよ感情だけで説き潰す他人のことをとやかく言って

ゆるゆると緩慢な死を待ち受ける日々は酒ごと流してしまえ

本当に貝になれたら良いのにね雑に過ぎてく性愛のこと

なんらかの救い求めて行く道にあなたがいない選択をした

問いかけは面白いほど醜くてねえ今わたし笑ってるでしょ

住む町を決められなくて一人いるその場さすらう喜びだとか

押入れの中に入ったあの頃の私まだ見てる秘密の夢を

週末はあなたのために髪を結う内出血は隠さない主義

さびしいはやたら静かに噴火する煙草の先の火の色みたく

2017年3月31日金曜日

2017年2月の短歌(2) 虫の名前

借りてきた猫の手届く範囲さえ流しの下に潜む爆弾

慈しみ優しさ丸い気持ちたち箱詰めにして潰す習性

距離感は恋とか愛の境目かあるいは孤独、都合だけなら #短詩の風

さみしいか言葉よ言葉貪欲に外階段の段差を鳴らす

年取って死ぬの分かっているんだし濃縮還元してよ人生

悲しみや淋しさほどに激しくもない関係を終わらせている

ああ下弦月よ私の生活を身損ねてまで小さくなるか

好きだった虫の名前ももう言えずそのうち破裂するのだきみは

ほおずきの実鳴らす音をきしませて心に早く熱をください

降りもしない知らぬ人々住む駅に乱反射するパチ屋の明かり

非力でも死ぬ気で殴れば痛いのと弱ぶるように見せる暴力

正解がわからないから逃げ出すかそんな弱さを許してくれよ

2017年3月24日金曜日

煙草短歌連作「ヒンジリッド」

2015年3月ころ、SNSのTwitter上で、風橋平さんがまとめてくださり、
煙草をモチーフにした短歌アンソロジー「喫煙室」に参加しました。
当時の作品をこちらにも掲載いたします。

改めて、参加・取りまとめ頂いたことに感謝いたします。
たくさんの歌人が参加されていて、とても楽しいネットプリントでした。

「ヒンジリッド」

勇猛な少年期白く終わらせる震える指でくゆらす煙草

灰色に染まる空へと吹く煙わたし立派にクズをやれてる

腹の中飼ってる自由な被虐心うちら陽気なチムチムチェリー

我々の口から安易に出る紫煙死んでしまえとすべては呪う

形ある神に名前をつけてやる甘いガラムの火花を散らし

唇が淋しいのまま凝固して誰かの代わり求めるけむり

緩やかに滑落しては笑い出す、しゃれこうべ、それ、黄金バット

最後から数えてみてはバニラ味ほかの誰かのせいにしてみる