2018年3月9日金曜日

2017年冬くらいの短歌(1) 承認欲求は

青色に燃えて承認欲求は小さく馬鹿と答えて消えた

かなしいと言葉に出して感情の重さを測る冷たい目盛り

苗字も名前も国も捨ててみて幸福なんかを求めてみたい

影を踏む日なた植木の葉が揺れて一番負けがつきまとう日々

ざんこくな気持ち吹雪いて加速してみんな私を追い越していく

尊くもない若さだけ過ぎていき楽しさだけが余計に残る

眠れない人の光は薄暗く朝になるまで冷える回廊

気が付くと傷だらけになる手足まで大事だなんて自己主張して

化膿した傷に軟膏塗り込んで小さく生きる約束をする

味の無いつらら折り舐める帰り道どうにか一人どこへでも行く

2018年3月2日金曜日

2017年秋くらいの短歌(2) 革命闘志

肯定も否定も水から煮立たせて食べたらやわい鍋になるだろ

恋文か遺書にもなれる便箋に拝啓、あなたへ手紙を書くよ

死にに行く猫の道筋一人行く出来れば虎の歩幅で行こう

輪郭の甘い誰かを見つけ出す昼間に上がる花火みたいに

肯定も差異も全部は許せない油性マジック塗り潰す黒

君が呼ぶ私の名前のようなものこの世で一番きれいな響き

モチーフとして滅ぶ傷痍軍人にダムに沈む村、革命闘士

どうしようもない夜が来て朝が来てどうにかできるだけの毎日

好きになる人がたくさん出来たから来世で自慢できるねきっと

淋しいと口に出せたら幸せで冷蔵庫にでもしまう後先

2018年2月23日金曜日

2017年秋くらいの短歌(1) 夜更けのコーラ

暖房の効かない部屋と詩を読んで頬をゆっくり撫でる静寂

もう二度と会えない人に教わった言葉聞くたびうすらさびしい

出来るだけ忘れずにいてほしいから悪い思い出ばっかり作る

単純な日々言葉たちことことに煮え立つジャムの湯気で曇って

淋しいと言葉に出して繰り返すドミノ倒し今日明日その先

ショーウィンドー越しに眺める人々へいろんな不幸背負わせてみる

抽斗の多くないこと一人きり得意になれず夜更けのコーラ

謝罪ってそれも残酷すぎるだろうそうして削除される私は

吹き荒れる嵐に慣れて左手のささくればかり気にして彼岸

繰り返すことに毎回吐き気してさびしくなってまた繰り返す

2018年2月16日金曜日

2017年夏くらいの短歌 喧嘩をしない

一人には多すぎるお湯沸かしては捨てるそういう小さな呪い

社会人として言葉にできないと無意味と知っているがさびしい

雨が降る夜の水気で失意とか失望なんかを膨らませてく

性的の意味は知らない人の喉しろいそれから鮮やかな影

夕立は罪悪感を強くするいつか私を連れてってくれ

大人だし知らない温度の人たちと喧嘩をしないしませんしない

国道をまだら染めてく雨の跡わたしの価値はわたしが決める

お別れの時に誰もが意図せずに呪う幸せ限定として

酷すぎる孤独ひとこと純粋に一人の人と通じ合うこと

緩慢な自殺だというその紫煙わたしより先に死なないでほしい

2017年9月29日金曜日

過去の短歌 判子の様に

神さまの名前は何か問いしのち干からびていくアノマロカリス

星月夜屋根の上には雄猫が甘い声色腰骨撫でて

この指を食いちぎる気も無い癖に判子の様に歯型を残す

正解のアンサーミックスベジタブル壊れた安直諦観食べて

童話では人生讃歌悲劇的結末語る人の優しさ

よく冷えた身体の中に稚魚を飼う明日誰かを食い尽くすよう

社会人たるもの強さを芯にして夜更けの町の怪獣となる

私たちつながる先の不等号乙女友情均一ならず

真夜中に点けたテレビの外国語一人がもっと一人になった

個包装六片チーズのいずれかに仲間に入れてほしい週末